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「決定論的カオス理論に基づく時系列解析システム」 計装 8月号 Vol.40 No. 8 (1997)

5 おわりに

ChaosTimesでは,カオス時系列解析の最も重要なコア技術を統合して使いこなす ためのプラットフォームが提供されている.

埋め込み,つまり適切な次元やラグで遅延座標系への変換を行なうためには,低 い次元であれば,視覚的にチェックするのが最も適切であるという観点から, ChaosTimesではこれまで,再構成状態空間の可視化に最も重点を置いてきた.今 後は,ラグや次元を決定するためのさまざまな手法の道具立てを充実させていく ことになろう.例えば,適切な次元で遅延座標系へ変換されてない場合に生じる 「偽の近傍点」を調べることによって,適切な次元を推定する「False Nearest Neighbors法」の導入を検討している.

また,最近,パルス的な信号からも「ISI(Interspike Interval)埋め込み」を用 いることによってアトラクタが再構成できることがわかってきている.このISI によるアトラクタの再構成のための技術を導入することはChaosTimesの今後の課 題のひとつである.

また,提供されている動径基底関数ネットワークによる非線形モデリングについ ては,モデルを最適化するための技術の導入作業が進行中である.

カオス時系列解析技術は現在学問的にも発展途上にあり,さまざまな分野や立場 で新しい手法が活発に提案されている.今後とも,新しい技術の有効性を検証し, そして確かな技術をChaosTimesへ導入していく予定である.




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