abmail ケーススタディ
 [2008/7/3新規]

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Mac OS X Server

Mac OS X Server について Tiger 以降を想定、メールサーバの構成は postfix, cyrus-imap となっている。よってここでは、Mac OS X Server に適した abmail の運用方法を紹介する。他の cyrus-imap ベースのメールサーバにおいても参考になるだろう。

スパムの隔離を行なう場合に重要となるのは、隔離されたメールを確認する手段である。IMAP はまさにそうした用途に最適である。一方で、隔離は行なわず、スパムの判定のみをヘッダ情報に記しておけば事足りるというのであれば IMAP は不要であるし、 POP しか提供しないポリシーのメールサーバもあり得るだろう。よって、前者を「選択肢: IMAP と POP」でスパムを隔離、 後者を「選択肢: POP のみ」でスパムを検知、これら両者の手順を紹介する。 また、迷惑対策ツール abmail は適切にインストールされているものとする。

選択肢: IMAP と POP

  1. [管理者] サーバ管理にて「POP を許可」並びに「IMAP の最大接続数」が1以上となっていることを確認
  2. [管理者] ワークグループマネージャにて、利用者 foo のメールアクセスを「POP と IMAP」に変更
    ここで、foo その他のユーザのメール利用に支障がないか、送受信してみたりして確認
  3. [利用者] osx-server 上のホーム ~foo/ にて、procmail の設定:
    % cp /path/to/abmail-1.2.0/dot-procmailrc.cyrus ~/.procmailrc
    % sed 's/taiji/foo/' /path/to/abmail-1.2.0/dot-forward.procmail > ~/.forward

    これで foo 宛メールについて MDA としてまず procmail が動作するが、~/.procmailrc ではまだ abmail の機能は有効になっておらず、普段のメールボックスと変わらないように見えているはずである。

    ここで、foo のメール利用に支障がないか、送受信してみたりして確認
  4. [利用者] スパム隔離に先立ち、osx-server 上で「abmail」メールボックスの作成:
    % /usr/bin/cyrus/admin/cyradm localhost
    Password: ********
    localhost> cm abmail
    localhost> quit
  5. [利用者] osx-server 上で、abmail によるスパム隔離機能を有効化:

    以下のように ~/.procmailrc の編集を開始

    % emacs ~/.procmailrc

    そこに SW_ANTISPAM=off という行の offonとする。

    スパムが到着すれば次々とそのメールボックスに隔離されていく。しかしそれを確認するには、次に準備する「IMAP対応メーラ」等が必要になる。

    ここで、foo のメール利用に支障がないか、送受信してみたりして確認
  6. [利用者] 普段使いのクライアントマシンとメーラにて、IMAPメールアカウントの作成:

    ここで、既に osx-server の POP アカウントを持っており、かつ、サーバから受信メールを削除しない設定の場合、 削除されていないメールはこれから作成する IMAP のメールボックスに重複して保持することになる。大量のメールをサーバから改めて受信すること、 削除せず放置されていたジャンクメールを改めて受信することを躊躇されるのであれば、予め整理しておくのも一考である。

    Mail.app で新規 IMAP アカウントを作成する。但し、既に POP アカウントを持っているなら、名前を違えておくとよい。

    IMAP アカウントが正しく無事作成されれば、通常のメールは通常の「INBOX」メールボックスへ格納される。そして、スパムが一通でも到達すれば「abmail」メールボックスがメーラに出現し、 そこに abmail が隔離したスパムが格納されることになる。

選択肢: 「POP のみ」

  1. [管理者] すべてのユーザが IMAP ではなく POP 利用者であれば、サーバ管理にて「POP を許可」となっていることを確認
  2. [管理者] ワークグループマネージャにて、利用者 foo のメールアクセスを「POP のみ」となっていることを確認
  3. [利用者] osx-server 上のホーム ~foo/ にて、procmail の設定は「選択肢: IMAP と POP」と同様
  4. [利用者] osx-server 上で「abmail」メールボックスの作成は不要
  5. [利用者] osx-server 上で、abmail によるスパム検知機能を有効化:

    以下のように ~/.procmailrc の編集を開始

    % emacs ~/.procmailrc

    SW_ANTISPAM=off という行の offon とし、さらに SW_ANTISPAM_ADD_HEADER=off という行の offon とする。

    ここで、foo のメール利用に支障がないか、送受信してみたりして確認
  6. [利用者] 普段使いのクライアントマシンとメーラにて、自動振り分け機能を使ってスパムを分別:

    abmail が見つけたスパムは「X-Abmail-Flag: Yes」というヘッダが付くので、それをメーラの振り分け機能等で利用する。

その他の選択肢について

選択肢: 「/var/mail」

Mac OS X Server では POP、IMAP のいずれも無効とした場合に /var/mail での運用を選択することが出来る。これについては特に Mac OS X Server に限った紹介も無いので他に譲るが、基本的には abmail-1.2.0/dot-procmailrc 及び隔離スパム報告及び誤判定救済用ツール abmailsreports での運用が可能である。

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