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はじめに

カオス力学系は、初期値鋭敏依存性、位相的推移性、周期解の稠密性などによっ て特徴づけられる。情報理論的観点からは、カオス系は軌道にそって情報が損 失していく系である。これらの性質を利用して十年ほど前から現在まで、様々 なカオス暗号方式が提案されてきた。力学系の分野には 100 年以上にわたっ て理論が蓄積されていて、カオス暗号の安全性や設計基準を力学系理論で評価 する枠組みが与えられている。

カオス同期に基いた暗号については多くの研究結果が出ているが、FS−CES (Finite State - Chaotic Encryption System)では、カオス同期でなく直接方式 を用いる [5,6,7,8] 。直接方式では 平文をカオス写像で直接変換して暗号文を得る。 平文は暗号文の逆変換で得られる。


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